低身長になる病気
"約70%は身体に異常が無い
低身長です"
成長ホルモン分泌の不足による成長ホルモン分泌不全性低身長症
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、脳下垂体からの成長ホルモン分泌が低下または欠如した場合に起こる成長障害で、以前は下垂体性小人症と呼ばれていました。
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、特発性(原因不明という意味)が最も多く、続いては続発性で、遺伝性はきわめて稀です。
特発性および器質性成長ホルモン分泌不全性低身長症
特発性、すなわち原因不明の成長ホルモン分泌不全性低身長症の場合、出生時はほぼ平均身長で、1歳前後から身長が低めとなり、2歳以後に-2SDを下回り、年を経るごとに平均身長との差が大きくなるのが特徴です。
一方、続発性のうち脳下垂体やその周辺にできた脳腫瘍などが原因で起こるのが器質性成長ホルモン分泌不全性低身長症です。この疾患は、正常に成長していた子どもが、ある時点(発症時)を境にして身長が急に伸びなくなるのが特徴です。しかし、成長曲線を描かない限りこの変化に気づくのはむずかしく、とくに毎日みている保護者や家族の方が発見するのは困難です。身長の伸びが悪いと感じられたら、成長曲線を描いてみましょう
甲状腺ホルモン分泌の不足による成長障害
甲状腺ホルモンも、成長ホルモンと同様に子どもの成長に大きな影響を及ぼしています。甲状腺ホルモンの不足状態である甲状腺機能低下症は成長障害を引き起こしますが、内服薬で適切に治療できます。
染色体検査によって診断される成長障害
1)女子特有の成長障害であるターナー症候群
ターナー症候群は、女子に2本あるX染色体のうち一方が欠失しているか構造異常を伴うために起こります。
染色体検査によって診断される成長障害の中で最も頻度が高く、女子低身長の5~10%を占めています。
ターナー症候群の女子は、やや少ない体重で生まれ、身長は-2SDの成長曲線に沿うように伸びますが、小学生になると年を経るに従って平均値から遠ざかっていきます。
ターナー症候群の約80%の子どもたちは、二次性徴とその時期の成長スパートが起こらないため、10歳台の前半には一層低身長が目立つようになります。
ターナー症候群の多くは、これらの特徴を除くと普通の女の子なので、成長障害は診断の契機として重要です。
2)プラダー・ウィリー症候
プラダー・ウィリー症候群は15番染色体の変異に起因する疾患で、発生頻度は10,000~15,000人に1人と考えられています。発達障害のひとつで、症状は多彩で年齢によって変化していきます。主要な症状には、新生児・乳児期の筋肉の緊張低下と、幼児期からの過食が挙げられます。プラダー・ウィリーの患者さんは筋肉量が少ないこともあり、エネルギーを消費できず肥満傾向にあります。そのため、食事の十分なコントロールが必要となります。そのほか行動面にもしばしば問題がみられ、コミュニケーションがうまくとれないなど、社会への対応が難しくなります。
骨・軟骨の異常による成長障害
成長に必要なホルモンが分泌されていても、それらが作用する骨や軟骨に異常があれば、骨は伸びず、成長障害が起こります。 こうした骨・軟骨の異常の中で、比較的多いのが軟骨無形成症です。
この病気の発症頻度は10万人に3~4人と推定されています。全体の8割以上が健康な両親から生まれ、発症は突然変異によるものです。
軟骨無形成症は著しい低身長をきたすことが多く、四肢がかなり短く、大腿骨や上腕骨がとくに短いのが特徴です。また、おでこの大きな顔つきも特徴の1つです。小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患の1つで、成長ホルモンによる治療が行われます。この際、治療適応基準が-3SD以下と決められています。
小さく生まれたことが関係している成長障害
・SGA性低身長症
SGAとは「small-for-gestational age」の略で、細かい話を抜きにして、一言『お母さんのお腹の中にいた期間に対して低体重もしくは低身長で生まれてきたお子様』ということです。
SGAで生まれても、約90%は2~3歳までに身長が標準範囲に追いつくといわれています。しかし約10%の子どもでは成長が追いつかずその場合、SGA性低身長症が疑われます。
SGA性低身長症では、成長ホルモンによる治療が可能になります。ただし、成長ホルモン治療の保険対象となるための要件には、出生時の身長・体重の少なくとも一方が在胎週数相当の-2SD未満であることが必要です。
生まれたときに2つの条件を満たす必要があります
1)出生時の体重及び身長
在胎週数相当の10%タイル未満
2)出生時の体重または身長
在胎週数相当の−2SD未満
皆様のお子様の母子手帳を見れば必ず出生時の身長と体重が書いてあるはずです
母子手帳を用意して身長と体重がどれくらいだったのか見てください。
参考までに在胎週数別出生時体重基準表は下記のHPからPDFでご覧になれます。
http://app.kcrt.net/bw/birthweight.pdf
問題は出生時で低身長(低体重)だったから治療が行える訳ではありません。
元々SGAで生まれてきても、多くのお子様が順調に身長が伸びて2歳頃までに追いつくこととも有ります。
では、治療を開始する条件は!?
以下の3つの条件を満たす必要があります
1)暦年齢:3歳以上
2)現在の身長のSD値:−2.5SD未満
3)治療開始前1年間んの成長SD値;)0 SD未満
以上から、SGA性低身長症で治療を開始するためには
1)出生時のSGA基準条件を満たす必要がある
2)治療開始時期(3歳以降)の基準条件を満たす必要がある
さらに、、
いくつかの条件が必要です
1)生まれた後、低身長の原因がお母さんの胎内にいたこと以外による場合は除外になります。
2)成長ホルモン分泌刺激試験を1回行い6以上であることが必要です(成長ホルモン分泌不全を否定する目的です)
SGA性低身長症は成長ホルモンが正常に出ているため、なかなか反応が鈍い場合がございます。
生活習慣病の発生も高いことが予測されており、成人になってからも定期的には通院していただきたいと思います。